聖徳太子…しょうとくたいし
念仏数返したまうに忽ち乾の方より
雷轟き雨雲一時に天に覆い
大雨篠をつくがごとし老翁かぎりなく
喜び一まず是なる松蔭にて
雨を御凌ぎあるべしと導引奉りて
其身は行方しれずなりにけり
聖人不思儀に思召ながら
日もすでに暮ければ此所に
一夜を明さんと心静に念仏したまいはや
子の刻に及びしばしまどろみたまう
御夢の中に雨雲悉く晴て白日の如し
彼池にうつれる星影光を放ち動き躍て
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